漆器は、下地の木地に漆を塗り重ねて作る工芸品。
縄文時代から使われはじめた漆器は、独特の凛とした光沢で人々の目を楽しませてきた。
美しさだけでなく、表面に漆を塗ることで器の強度が増し長持ちする。
また、熱いものを入れたときに熱が伝わりにくく、器が持ちやすい。
みそ汁を欠かさず食べている日本人にとって漆器は最適な器。
1万年も昔から現在まで、私たちの生活に欠かさずに
受け継がれ、存在し続けていることが それを物語っている。
また漆器全般を英語で「japan」と表記されることもあるほど、漆器は日本を代表するものであることが分かる。
漆器に携わっている地は全国に多く見られる。
石川県山中温泉で漆器がつくられるようになったのは、400年前の安土桃山時代。
山中漆器のはじまりである。
山中漆器の特徴は「縦木」とよばれる木取り方法。
縦木取りすることで、美しい木目が現れる。
この木目を生かした漆塗りが「拭き漆」。
生漆(きうるし)とよばれる透けた漆を、塗っては拭き取る作業を繰り返し、漆を木地に刷り込んでいく。
この拭き漆で仕上げることで、漆を塗ったあとも木目が見える器に仕上がる。
拭き漆は下地が隠れないため、木地にごまかしはきかない。
そのため、木地挽物職人の技術が高く 山中漆器は「木地の山中」と称されている。
木地挽きに使われる鉋は器のデザインによって異なり、この鉋を挽物職人が自ら製作するという
他には類を見ない技法で高く評価されている。
また山中温泉地区は、職人の規模・質及び生産量において、全国の挽物産地の中でも群を抜いている。